先頃発売された、トレンディエンジェル斎藤さん初の著書『ハゲましの言葉: そんなにダメならあきらめちゃえば 』。本書にはたっぷりとハゲに関する記述があるのですが、中でも目を引いたのが漫才コンビ・トレンディエンジェルを目覚めさせることになった、先輩芸人ダイノジ・大谷ノブ彦の一言です。


実は生粋の人見知りだったトレンディエンジェル斎藤さん。吉本のお笑い芸人養成所・NSC時代は、先輩芸人との交流はゼロだったといいます。ところがNSCを卒業して間もなく、先輩芸人ダイノジが野球チームのメンバーを募集しているという情報をキャッチします。
野球なんてまともにやったことがなかったが、「今先輩と絡んでおくのは大事なことだ」と、元高校球児のたかしとも相談し、すぐにダイノジさんの門戸を叩いた。

出典:『ハゲましの言葉: そんなにダメならあきらめちゃえば (小学館よしもと新書)』 斎藤司
ダイノジ率いる野球チーム「俺軍」に参加することになったトレンディエンジェル。このチームでは先輩芸人との交流も深まり、刺激的な毎日を過ごしたといいます。ある日、グラウンドに集まったダイノジ大谷は後輩達の覇気のなさに業を煮やし、「お前らそこに並べ!」「お前らのネタ、見てやる」と突然のネタ見せを要求します。
僕らの順番になった。当時は「ハゲネタ」をやらないことで何か新しいものを探そうとしていたから、いつもどおり、その見た目とは相反する今では考えられないシュールなネタをやりきった。すると間髪入れず大谷さんの怒号が響き渡った。

「なんでハゲネタやんねえんだよ!」
「お前らがっつりハゲてんじゃねえかよ!」


文面だけ見ればまるで小学生の罵り合いである。そして大谷さんはこう続けた。

「そこ消化しないと、お前らの個性受け入れられないだろ!」

僕はハッとした。これまでの自分は本当に浅はかだったと痛感した。

出典:『ハゲましの言葉: そんなにダメならあきらめちゃえば (小学館よしもと新書)』 斎藤司
この一言をきっかけに、自分たちのネタを見つめ直すことになった斎藤さん。「やっぱり見た目は、お客さんの目と笑いへの一番の近道なんだ」と感じ、相方のたかしにも感想を求めたといいます。ところがたかしは「いや、いつものメイド喫茶行くのか、それとも新しくできたメイド喫茶に行くのか考えてたわ」と斜め上の回答。さすがのマイペースぶりを発揮しています。

そんな斎藤さんに目を付けたダイノジ大谷は「斎藤、おまえ明日から毎日ハゲネタで一発ギャグな」と毎日携帯メールでハゲネタを送らせます。うっかり斎藤さんが忘れようものなら「なんで今日ハゲネタねえんだよ!」と電話で鬼のように捲し立てたとか。怖ぇ・・・。
「す、すみません、ちょっと毛(気)を抜いてました!!」(斎藤)
「・・・・・・・・・」(大谷さん)
「・・・・・・・・・(や、やばい)」(斎藤)
「いいじゃん」(大谷さん)
「ありがとうございます!!」


こんな感じのやりとりが三年くらい続いた。

出典:『ハゲましの言葉: そんなにダメならあきらめちゃえば (小学館よしもと新書)』 斎藤司
まさにブートキャンプとも言えるダイノジ大谷軍曹の厳しい取り組み。必死で食らいついてきた斎藤さんのことを、当のダイノジ大谷はこのように語っていたといいます。
この頃に大谷さん率いる俺軍の先輩後輩と飲んでいるときだっただろうか。大谷さんが「斎藤はハゲネタを毎日俺にメールしてきたのが大きいよ。普通若手でもやれって言ってもなかなかやらないんだよね、持ってないようでみんなプライド持っちゃってるから。だから実はみんな頑固だし。斎藤は早めにそれを捨てられたから、仕事が入るようになったんだよ。」と話してくれた。

出典:『ハゲましの言葉: そんなにダメならあきらめちゃえば (小学館よしもと新書)』 斎藤司
その後の斎藤さんの活躍はご存じの通り、M-1王者となった後も「斎藤さんだぞ!」「ペ!」などのネタですっかりお茶の間でもお馴染みの存在となっています。芸人だろうがなんだろうが、ハゲを1つの個性として自分の中で消化することの大切さを感じますね。

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